商売繁盛の神様・稲荷社を祀る時のルールと狐の祟り!?

このようなご相談をいただきます。

 

「お稲荷様をお祀りしたいのですが…」

 

日本人にはとても馴染み深い神様であるにも関わらず、その実情はあまり知られておりません。

 

また【キツネのタタリが怖い】などと誤解されてある方もたくさんいらっしゃいますので、今回は詳しく稲荷大神について書きます。

 

1.お稲荷さんについて

総本宮は京都市にある伏見稲荷大社。今から1300年以上も前のことですが、和銅4年如月初午の日(711年2月)、稲荷山の三ヶ峯に鎮座されたと云われています。

 

稲荷大神はこちらの五柱の神々を総称する御名(みな)であって、正一位稲荷五社大明神とも称えられます。

 

・宇迦之御魂大神(ウカノミタマノオオカミ)

・佐田彦大神(サタヒコノオオカミ)

・大宮能売大神(オオミヤノメノオオカミ)

・田中大神(タナカノオオカミ)

・四大神(シノオオカミ)

 

古よりそのご神徳は五穀豊穣・家門繁栄・商売繁盛の守護神として篤く信仰され、現代では身体健全・心願成就・交通安全・入試合格や病気平癒など全般とされます。

2.「わけみたま」について

稲荷大神の御分霊(わけみたま)は日本国内だけでなく、移住者の多かったハワイやブラジルなどにも及びます。

 

伏見稲荷大社は全国に鎮座する約30,000社ある稲荷社の総本宮であり、さらには神社の摂社末社、寺院の祠、地域の鎮守神、または会社・工場・屋敷・家庭・船舶などの神棚に祀られる御分霊を数えれば数百万にも達することでしょう。

 

この稲荷大神の御分霊である「神璽(おみたま)」を授かり、守護神として祀ることを稲荷勧請と言います。神璽を拝受することは、あたかも御神灯の火を各家庭の神棚に移すのと同じ事であり、その御神徳は伏見稲荷大社に祀られる親神様と何ら変わりません。

 

神璽は神札(おふだ)と違って「ご神体=神様そのもの」なので、最も丁寧にお祀りしなければなりません。

 

また神璽には必ず証書(伏見稲荷大社より拝戴された証明書)が添えられるため、これを神璽と共にお社または神祠(ほこら)の中に納めてください。

3.「神璽(おみたま)」の祀り方・タブーについて

神璽の祀り方は「棚まつり」と「地まつり」の二通りがあります。棚まつりは家屋の適当なところに神棚を設けることで、地まつりは敷地や邸内に神祠を建ててまつることです。

 

おまつりの方角は南向きまたは東向きが良いとされておりますが、必ずしもこれらにとらわれる必要はありません。

 

 ⇒ 神棚方位の迷信について

 

大事なことはおまつりする場所が清浄にして、朝夕の拝礼や祭祀の執行に都合の良いところを選ぶことです。またお社や神祠の高さは拝礼の時に目の高さより上となるようおまつり下さい。

 

神璽をお社・神祠にもおさめないで、俗に言う「はだかまつり」にする事はよくありません。

 

神璽は必ずお社・神祠の中におさめて、通常は御扉を閉めておき、一年に数回行う大祭の時にのみ開きます。ただし、この時に神璽が直接目に触れぬよう、扉の内側に御簾(みす)や御帳(みとばり)などを付けるようにします。

 

お社は一社用が最も良く、やむを得ず三社用にする場合は、中央に神璽、向かって右側に皇大神宮(伊勢神宮)の神札、向かって左側に氏神さまの神札をおまつり下さい。

 

伏見稲荷大社で受けられた神札・祈祷札は、神璽と一緒にはせず、御扉の前に立てるか、横に置いておまつりします。

 

お社のお飾りは神鏡・榊立て一対・眷属(狐)一対・ローソク立て一対の他、提灯・鳥居・燈籠・幟などを適宜用いて下さい。


4.おまつりの心得

神璽をおまつりしている会社・工場・商店・家庭にあっては、毎月一日・十五日、初午の日あるいは神璽を受けられた記念の日、創業または開店された記念の日、家庭の祝い日など、意義ある日を選び祭り日と定めれば良いのです。

 

おまつりの前には神棚・神祠の清掃、榊の取り替えなどに心がける

べきであります。神事にたずさわる時には、身と心とを清浄にすることが大切でありますから、毎日の神拝の前には、口をすすぎ、手を洗う心がけが大事です。

 

毎日のお供え物としては「お米・塩・水」です。

 

 ⇒ お供え物を上げる順番をご存知でしょうか?

 

お祭りの日には、お米・塩・水のほかに酒・餅・魚・海藻・野菜・果物・菓子などをお供えします。また季節の初物や珍しい到来ものをお供えするのもよい事です。

 

拝礼の作法は、以下の通りです。

 

【1】一揖(いちゆう/軽く頭を一度下げる)

【2】二拝(にはい/深く頭を二度下げる)

【3】二拍手(にはくしゅ/手を二度打つ)

【4】一拝(いっぱい/深く頭を一度下げる)

【5】一揖(いちゆう/軽く頭を一度下げる)

 

玉串をもって拝礼するときは、玉串の根元を神様の方に向けてお供えしてから拝礼し、祝詞を奏上する場合は、一揖→二拝→二拍手→の次に祝詞を奏上し、終わって二拍手→二拝→一揖をいたします。

お米・塩・水を供える例

お米・酒・塩・水を供える例


5.稲荷信仰について

伏見稲荷大社で拝戴した「正一位稲荷大神」の神璽にご神徳や拝戴者の職業・地名・場所等にかかわるご神名を付けてお称えする信仰があります。

 

例えば稲荷山三ケ峯の神蹟である上社・中社・下社を末広様・青木様・白菊様という御名で称えるのをはじめ、お山に鎮まります多数のお塚には、みな違ったお名前のご分神がまつられます。

 

これは親神さまの広大無辺なご神徳に対して、人それぞれによって信仰の面を異にするところから、このような命名の信仰が生じたのであります。

 

このように伏見稲荷大社ご祭神のご神名は稲荷大神ですが、その上に各自が○○稲荷大神・○○稲荷大明神などと命名しておまつりしても構いません。

 

神璽は末永く子々孫々までおまつりを継承するのが本来の姿であります。代が替わってたり、商売を止めたり、家を移ったと言ってもお返しすることはいりません。

 

永い間おまつりし、その間に数々の有難いご神徳をいただいたので親神さまに感謝の気持ちから今までより大きくおまつりしようと、一回り大きい神璽に受けかえることを「格上げ」と言います。

6.「神璽(おみたま)」の種類

 神璽には、次の九種類があります。

 

(1)小式

(2)中式

(3)大式

(4)本式

(5)小斎祀式

(6)中斎祀式

(7)大斎祀式

(8)本斎祀式

(9)本大斎祀

 

それぞれのサイズや初穂料が異なりますので、稲荷勧請される方は

以下のページをご参照ください。

 

 ⇒ お稲荷様には専用の神棚を設置します(サイズ/神棚の種類)

 

 ⇒ お稲荷様の全国の取付事例(一社/三社/購入代金のご予算)

以上、1~6項の内容は伏見稲荷大社「神璽奉斎・神璽勧請のしおり」に準拠します。

7.仏教のダキニテンとお稲荷さん

日本三大稲荷と言えば複数候補はありますが、代表的な神社仏閣は『伏見稲荷大社/豊川稲荷/祐徳稲荷神社または笠間稲荷神社』。

 

このうち「伏見・祐徳・笠間」のご祭神は稲荷大神であるに対し、「豊川稲荷」のご本尊・荼枳尼天(だきにてん)をまつる曹洞宗の寺院となります。

 

「荼枳尼」という名は梵語のダーキニーが由来であり、奈良時代の頃の慣習であった神仏習合の影響を受けて、「イナリとダキニ」が同一視された時期もありました。

 

しかし明治初期に神仏分離令が発せられ、現在は神道の稲荷大神と仏教の荼枳尼天は全く別の存在として考えなければなりません。

8.お稲荷さんはキツネですか?

これまで述べてきたように稲荷大神は五柱の神々の総称であって、「キツネ=イナリ」という関係性では決してありません。稲荷大神の眷属(けんぞく)が狐ということであり、眷属とは神様の使者のことを言います。

 

・稲荷神社→狐

・伊勢神宮→鶏

・出雲大社→海蛇

・春日大社→鹿

・熊野大社→烏 

・天満宮→牛

・日吉神社→猿

・八幡神社→鳩

・大神神社→巳

・三峯神社→狼

9.「イナリの祟り」って本当にあるの?

稲荷大神はそのご神徳の高さから全国各地で勧請されるようになりました。当然それは稲荷大神のオチカラによるものですから、何事にも強い影響力を与えるということを忘れてはいけません。

 

こちらは実際の出来事です。

 

大分県の女性が稲荷大神をまつる神祠を手放すことになりました。先祖代々に渡り受け継ぐものでしたが、日々のお世話も大変な手間になってきたと感じていたそうです。

 

ある日、業者が引取りに伺った時のこと、石で作られた三段重ねの神祠は思いのほか重く、仕方ないため大きな下段を放置したまま、上段と中段のみ回収することになりました。

 

その翌日、女性は玄関先で転んでしまい、足首を骨折する事態に。

 

奇しくも三段式の切り離された部分と同じような体位だったのは、もしかするとお稲荷様からのメッセージだったのでしょうか?

 

ちなみに「祟り」とは「示しが出る」と書きますし、そのタタリの真意を読み取ることが、より大切であると感じます。

 

またこれは別の実例です。

 

長崎県の男性は先祖代々に渡って稲荷大神を信奉する家庭に育ち、自分で15代目、そしていずれは16代目となる息子に引き継がせるため、今も篤く崇敬し続けています。

 

その男性はサラリーマンであるにも関わらず、月収が1,000万円を超えるお給料をもらっています。年収が1,000万の人が給与所得者全体で5%と言われる中、それを月収でクリアするとは…

 

「神は人の敬いによって威を増し 人は神の徳によって運を添う」

 

この言葉の通りです。その年月が長ければ長いほど、ご先祖様方の徳が重なるほどに、神様のオチカラも強くなるのでしょう。

 

私たちは現世利益(げんせりやく)を多く望みがちですが、神様とご先祖様の恩恵に感謝して日々を生きていかなければなりません。

 

先程の女性、どうしても屋外で神祠のお世話が難しくなった際は、せめて室内の小さな神棚に遷し変えても良いので、これまで通りに感謝の気持ちをお供えすることが本当だったのです。

~出張取付の施工実績~

 

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