九州が誇る神棚の産地と言えば、福岡県の柳川地区。
この町は旧城下町として古くから賑わい、今でも水郷柳川には県内外から多くの観光客が集まる場所です。
隣町には全国でも有数な家具の産地である大川地区があり、地理的にも九州中から良質な木材が集まるという優位な立地にあります。
この柳川では、江戸時代に仏壇の木地師が神棚を作ったのが始まりとされ、ひと昔前までは数十軒の神棚製作所があり、九州などからの注文を一手に引き受けてきた歴史があります。
またその技法は口伝により代々受け継がれ、繊細な仕上がりを要求される障子扉や、屋根中央部には唐破風(からはふ)という独特の曲線美を持たせる造りが特徴的です。
柳川の神棚は、素朴さの中にも荘厳な趣きも感じさせることから、九州はもとより全国各地より注文が集まるほど敬拝されています。
昭和56年には福岡県の特産工芸品にも指定され、第19回明治神宮全国特産物奉献行事の際には、優秀特産品代表としてご奉献の栄を賜りました。
しかし時代の変化で、安価な外国製品が出回ると生産個数も一気に減り、今では職人たちの数も減り続け僅かに3世帯を残すばかり。
そんな伝統を絶やさぬために様々な人より応援を受けながら、現在『国産神棚復活プロジェクト』は進行中です。
同じ柳川出身で、大関昇進を果たした琴奨菊関の口上が「万里一空(ばんりいっくう)」。
万里一空とは、すべての理(ことわり)は空につながっていくという意味ですから、「迷わずに目指す先は一つ」の想いで店主も精進して参りますぞ!